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INAXライブミュージアム 2024/3/7 [お出かけ]

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 INAXライブミュージアム 窯のある広場・資料館


 愛知県にある豊田市美術館で昨年開催された企画展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」で紹介されていた、2代目帝国ホテル(ライト館)で使用されたレンガとテラコッタに関する展覧会が愛知県常滑市にあるINAXライブミュージアムで開催されているとのことで見に行ってきました。

 常滑市で創業した伊奈製陶(後のINAX)は国内の衛生陶器でTOTOに次ぐシェアを持ち、世界最大のタイルメーカーでもあります。2011年にトステム、新日軽、 サンウエーブ工業、東洋エクステリアと経営統合し、現在は「LIXIL:リクシル」という名前になっています。

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 資料館でチケットを購入(写真が受付)


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 ミュージアム内には展示館と体験館が幾つか点在していますが、手首に巻いてもらったテープを見せれば各館へ入れるようになっています。


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 チケット購入場所がある資料館の中は当時常滑の主力製品であった土管を実際に焼いていた大正時代の窯がそのまま保存されています。


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 窯の内部


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 重い土管を効率よく運ぶための「伊奈式運搬車」


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  資料館2階の企画展「帝国ホテル煉瓦製作所」の会期は当初2023年末まででしたが2024年5月14日まで延長されました。


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 階段の前に置かれていた帝国ホテル仕様のテラコッタ、実際に型ををおこして復元した様です。


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 フランク・ロイド・ライト設計による2代目帝国ホテルに使われた焼き物の数は400万丁以上に及び、膨大な数と複雑な造形の要求に応えるべく「帝国ホテル煉瓦製作所」が常滑に設けられ、4年間稼働したそうです。


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 こちらが帝国ホテルの外壁や柱の装飾に使われたスダレ煉瓦 ライトは焼き上がりの色や模様まで指定してきたそうです。


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 スダレ(スクラッチ)模様を刻む治具


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 実際に当時のテラコッタを再現した際の型と完成品。製作時の映像が展示されていましたが、ものすごく手間が掛かる様でした。当時膨大な数のテラコッタを製造するのはさぞかし大変だったと思われます。


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  写真が2代目帝国ホテル本館ダイニングルームの柱(建築陶器のはじまり館にて)


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 柱はスダレ煉瓦と大谷石で構成されています。



 企画展の紹介動画がこちらです。


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 続いて「世界のタイル博物館」へ


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 7000点を超える装飾タイルを収蔵しているそうです。


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 2階まで吹き抜けになっている大きな展示室入口、ペルシャのモスクをイメージしているそうです。


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 このミュージアムの工房で手作りされた55,000本のクレイペグで模様が描かれた壁面装飾


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 紀元前3500年のメソポタミア遺跡で見つかったという装飾方法で円錐状のペグが埋め込まれています。


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 最初のタイルは4,650年前の古代エジプトのピラミッドの地下から発見されたそう。鮮やかな青色は銅による発色で、当時すでにこの技術を持っていました。


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 イスラームのモスク内をイメージした天井装飾


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 15~16世紀頃にヨーロッパにタイルの技術が伝わるまで、タイル製造技術はイスラームが世界の中心だったそうです。


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 19世紀イギリスのパブを想定した展示


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 緑色は銅、茶色は鉄を使って発色させているとのこと。


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 2階への階段 はめ込まれた金具とタイルで凝った造りです。


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 彩釉煉瓦(紀元前8~7世紀:アッシリア)


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 エジプト・ファイアンス タイル ガラス質の砂を使って高温で焼成されたもので銅で発色させている。


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 エジプト考古学博物館でファイアンス タイルで再現展示されているピラミッドの地下壁画写真。


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 青釉浮出文字文星型タイル(13~14世紀) 砂漠地帯で乾燥したイスラームでは水は命に欠かせないもので、水を象徴する青釉は神の慈悲を表しモスクで多用された。


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 多彩野宴図組絵タイル(18世紀 イラン)


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 廊下の床も全てタイルです


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  アントニ・ガウディが設計した「奇想館」と呼ばれる別荘に多用された、ひまわりをモチーフとしたタイル。

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 各国のタイル展示

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 18世紀オランダの陶磁器工房を描いた組タイル(1978年複製)


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 この通路の床は木かと思ったらタイルでした。


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 「伝東大寺敷瓦」751年の東大寺創建時のものではないかとされるもの。


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 「花壇瓦」花壇の土留めとして縦に埋め込んで使われた。


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 イギリス製タイル(右列)を模して造られた日本製タイル(左列)。日本のタイルはやがて海外へ輸出されるようになった。


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 釉上彩陶板(山水) 白磁 中国・清王朝時代


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 「押型人物騎射文空塼 」紀元前1世紀~紀元1世紀(中国・前漢末期~後漢初期)”塼:せん”とは古代中国で焼かれた装飾を施された煉瓦やタイルのこと。”塼”は日本では”瓦”という名前で広まった。


(古便器コレクション)
  江戸時代末期になると陶器製の便器が瀬戸や常滑で焼かれ始めるようなる。木製便器と違って水拭きができて清潔で耐久性のある陶器の便器が好まれるようになりました。1891年の濃尾地震で倒壊した家屋の建て直しで陶器製便器の需要が高まり、やがて東海地方から全国に普及していったそうです。
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 古便器の主な産地「福岡・赤坂」「滋賀・信楽」「愛知・高浜」「愛知・常滑」「愛知・瀬戸」「佐賀・有田」「山形・平清水」ごとの展示物


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 「厠下駄」用を足す際に床を汚さないよう立ち位置を示すとともに、はね返りを防ぐためにつま先に覆いが付けられたものが好まれたとのこと。


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 黄瀬戸の小便器


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 青磁の染め付け便器(瀬戸)



(建築陶器のはじまり館・テラコッタパーク)
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 「建築陶器」と呼ばれる芸術性の高いタイルとテラコッタを屋内と野外で展示しています。


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(やきもの工房)
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 ものづくりの伝統や技術を紹介する展示
 

(土・どろんこ館)
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 こちらも体験教室が用意されていて、2階と1階奥に展示コーナーがあります。


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 「光るどろだんこづくり」体験教室の完成品サンプル まるで石を磨いたようにピカピカです


 どろんこ館の企画展示は「光を集め、色を放つ ―建築を彩る多田美波の造形」
多田美波(1924-2014) 反射や透過といった「光」の性質を取り入れた独自の表現で空間を新たな次元へと導こうとしました。アルミニウム、ステンレス、アクリル、ガラスなど当時の新素材に技術を掛け合わせ、大胆に発想し、緻密に考え抜くことで、優美で二つとない世界を実現させていた(INAXライブミュージアムWEBページより)
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 ガラスブロックをサッシに固定することにより割れるのを防ぐ試作品


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 ネオジウムガラス装飾の試作品 酸化ネオジウムは黄色の可視光を吸収する性質があり、紫外線には青く、白色光だと赤みを帯びるそうです。


(陶楽工房)
 モザイクアートや絵付けなどの体験ができる場所です。子ども連れの家族などにうってつけ。
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 細かいタイルがたくさん準備されていました。


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 ミニタイルでつくるリースの教材


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 ミニトイレの絵付けサンプル ※体験教室は予約が必要なものと不要なものがあります。


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 ミュージアムショップで購入したミニタイル(1カップ税込880円)

 土管を焼いていた窯をそのまま保存展示する資料館はレトロな雰囲気が漂う落ち着いた空間で、インスタ映えがする被写体がたくさんあって人気のようです。特に印象に残ったのが世界のタイル博物館で、世界各地の珍しいタイルや芸術的なタイル、考古学的な価値がありそうなタイルまで数多く展示されていて一見の価値があります。
 INAXライブミュージアムWEB→https://livingculture.lixil.com/ilm/


 ミュージアム観覧後は「常滑やきもの散歩道」を歩いてきました。次回の記事でレポートします。

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