【鈴鹿】嶽参道をたどり不動谷から国見岳へ 前編 2023/11/30 [山歩き・ウォーキング]
嶽不動尊と不動滝
以前見かけた観光案内板(下の写真)に旧三嶽寺の「表参道」が描かれているのを見て興味津々、いつか歩いてみたいと思っていましたが、いよいよ実行に移すことにしました。
旧三嶽寺表参道(嶽参道)について
戦国時代に焼き討ちに遭い焼失したとされる三嶽寺。”鳥居口”と彫られた大きな石碑が国道沿いにありますが、そこがかつての表参道入口で鳥居と丁仏があったとのことです。
今でこそお寺に鳥居は似合いませんが、古の日本では神仏習合が普通で、古来の神々や海外の神々もすべて仏の守護神ということにして仏教を広めていた時代がありました。”鳥井戸川”や”鳥居道山”の名称はこの参道に由来すると思われます。
明るくなるのを待って蒼滝公共駐車場をスタート。この駐車場は上下3段に分かれていて、一番下の駐車場(写真)にはトイレと東海自然歩道・蒼滝方面への入口があります。
橋を渡って少し車道を戻ると東海自然歩道・朝明方面への入口、ここから国道まで山道を行きます。
かもしか大橋の真下を通過、鎌ヶ岳のピークが見えました。ここから鎌ヶ岳と御在所岳が見えると思っていなかったのでちょっと嬉しい。
御在所岳、ロープウエイ山上公園駅の明かりが見えます。
急な山腹をトラバースするように歩道がつけてありました。結構アップダウンがあります。
階段の段差が大き過ぎて辛い、手前にブロック1個ずつ置いてくれたら楽なのになあ…
国道に出たら400メートルほど下ってキャンプ場へ。車が勢いよく上ってくるので気をつけて。
このあたりの標高は400mほど、紅葉が見頃になってきました。
鳥居道山キャンプ場入口を左へ入ります
スズカアザミの花が残っていました。
オートキャンプサイト横の道を行きます。テントがひと張り、中で薪ストーブを焚いているみたいで煙突から煙が出ていました、ちょっと憧れます。
鳥井戸川の大堰堤。
ジグザグに高度を稼いていきます、堰堤建設の為に開かれた作業道ですね。
道の真ん中まで草木が茂る作業道を歩いてチェーンが張ってある終点まで来ました。
鳥井戸川の川原に下ります。
堰堤の先に伊勢湾が見えました。高さ30mくらいはあるでしょうか?下を覗くと吸い込まれそうで足が竦みました。
川の右岸に残っていた旧参道、草木が茂り自然に還ろうとしていました。
流れが90度西に向きを変えるあたりで道が分からなくなったので川の中を進みます。所々先人が積んでくれたケルンが目印。
堰堤から300メートルくらい溯ると、左岸に標識が見えてきました。
「旧三嶽寺表参道・登山道入口」の標識、ここから所々案内標識が設置されていました。
比較的新しいリボンが付いていますね。
炭焼き窯跡を通過
ひとつ目の丁仏を見つけました。見かけたのは全部で3体だけでしたが、参道が機能していた頃はもっとたくさんあったのでしょうね。
対岸に標識が見えたところで鳥井戸川を渡渉して「一ノ坂」に入りました。
一ノ坂は割谷本流の一本北側に位置する枯れ谷です。崩れにくい安定したルートを参道に選んだのでしょうね、苔むした岩がそれを証明しています。
小尾根(峠)を乗り越える。谷の下と上にこの標識が立っていました。
東西方向に延びる旧参道は何ヶ所か割谷へ流れ込む支谷が横断しているので、その都度谷間を横切って進みます。
支谷の対岸に「二ノ坂」標識が見えてきました。
小尾根を越えてすぐにあった小さな木橋、絶妙な位置にあり、たったこれだけでも助かりました。
短い二ノ坂の谷を詰めて小尾根が横切る峠に出ました。
そこに2つ目の丁石がありました。
山腹の道を少し下った所に「猪の踊り場」の標識。いわゆるヌタ場ですが最近使われた様子はありません。
ここも支谷を渡って対岸へ
山腹に道が続いていました。
3つ目の丁仏、見かけたのはこれが最後。
開けた谷間に飛び出したら割谷の本流です、前方はヤシオ尾根。参考書によると割谷上流域を”足洗谷”と呼ぶようです。
雰囲気の良いナメ滝の上流を渡渉します。
旧参道にはこうした木橋が幾つかありました。朽ちかけたものばかりでしたが、いつ頃設置されたものなのでしょうか?
参道の終盤は谷間の斜面に沿って付けられた高巻き道で、水が枯れて谷底が近づいてきたあたりから斜度が増してきました。
別の谷を右手に見送り詰めて行くと鞍部が見えてきました。
鞍部にある鐘突堂跡が嶽参道の終着点、先日kameさんと訪れた場所です。ここから反対側の石階段を下れば旧三嶽寺跡地です。
鐘突堂跡の鞍部から割谷の頭まで尾根をピストンしました。途中に御在所岳の展望があります。
割谷の頭は今年2度目で合計3度になりました。
界石がピークのシンボル
再び鐘突堂跡に戻り、東へ石階段を下ります。
旧三嶽寺の痕跡は先ほどの石階段とこの手洗石くらいでほとんど残っていません。
三嶽寺跡地は広々として静かな場所です。室町から戦国時代にかけて、ここで多くの修行僧達が暮らしていたそうです、きっと麓の村に住む信者がお供え物を担いで参道を歩いてきたことでしょうね。
次は谷を渡渉して嶽不動尊へ向かいます。流れはこの150mほど上流で不動谷と権現谷に分かれています。
古い案内標識
荒れた支谷を横断して木橋を渡ります。
不動谷の中流域は土石流に浚われ岩に苔が付いていません。ここから左岸の斜面に沿って登っていきます。
かつては一般コースでしたが、2008年の豪雨災害以降荒れてしまったみたいです。
固定ロープ場
急坂を登りきると嶽不動尊が見えてきました。高い位置にあったので土石流被害は免れたようです。
いちばん右に不動明王様、左に銅鏡、真ん中はどなたでしょう?不動明王は大日如来の化身とされ、右手の剣で煩悩を断ち切り、左手の縄で煩悩沼から引き揚げてくださるそうです。背中に炎を纏い怖いお顔をしていらっしゃいますが、煩悩にまみれ誤った道を行く人たちを救済して下さる慈悲深い仏様なのだそうです。
”一ノ滝 必勝不動明王 〇〇不動會”でしょうか?色がハゲて読めません。
不動滝の周囲は深山幽谷の雰囲気が漂っていました。
滝行するのに相応しい場所ですね。
滝の上空にゆるぎ岩と天狗岩が見えました。
この後不動谷を遡行して国見岳へ向かいました。
続きは後編をごご覧下さい→https://teppan2.blog.ss-blog.jp/2023-12-06
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(概要と注意点)
旧三嶽寺の表参道(嶽参道)をたどるルート。キャンプ場から林道を終点まで進んで鳥井戸川に下りて遡行、途中から割谷本流の北側を西へ進む。鳥井戸川右岸の旧参道は2008年の土石流で寸断され部分的にしか残ってないので、序盤は川の中を歩いて上流へ向かいます。
一ノ坂以降も明瞭な道はなく標識も限られているので、地形図・コンパス・GPS機器等でルートファインディングを要します。
(コース状況)
林道終点から鳥井戸川を400メートルほど溯ると左岸に「登山道入口」の標識があり、そこから残存する旧参道に入る(炭焼き窯跡と丁仏あり)。
さらに200メートルほど進み対岸に「一ノ坂」の標識が見える地点で渡渉し「一ノ坂」の谷に入る。
小尾根の峠を越えてさらに山腹を進むと、ふたたび支谷の対岸に「二ノ坂」標識が見えるので、渡って「二ノ坂」の谷に入る。登り詰めると峠に2つ目の丁仏あり。※旧参道は何ヶ所か支谷を横断します。
猪の踊り場、3つ目の丁仏を過ぎると明るく開けた「足洗谷(割谷上部)」出る。ナメ滝の上部を渡渉し真西へ続く谷を詰め上げれば「鐘突堂」標識のある峠にたどり着く。
タグ:鈴鹿の山
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